ロビン日記

古本屋ロビンの日々を綴っています。

経済的自由とは

 投資をするようになって、よく「経済的自由」って言葉を聞くようになった。事業が大成功して経済的自由を達成した……ってな文脈で使う言葉。資産形成に成功して、お金のためにせっせと働かなくていい状態、お金に困らない状態、こんな状態のことを「経済的自由」って表現してるみたいだね。FIREって言葉もあるけど、近いニュアンスかも知れない。

 

 最近ではようやくこの言葉にも慣れてきたけど、初めて耳にしたときには随分と違和感を感じた。というのも、世間では

 

 経済的自由

 

 な状態のことを経済的自由って表現している。対義語としては、そんな言葉あるのかどうか知らないけど「経済的不自由」って言葉になると思う。

 

 ところでね、私は大学が法学部で、いちおう司法試験を目指してもいた。難関資格なので夢は挫折したけれど、いくつかの法律系国家資格は持っているよ。そんな法学部で学んだ者からすれば経済的自由ってのは、

 

 経済的自由

 

 のことに他ならない。対義語は「精神的自由」。思想や信仰、学問の自由といった精神的活動を保障するための自由権が精神的自由であるのに対し、財産権や職業選択の自由など経済活動に関する自由権、それが経済的自由なんだよ。正確には「経済的自由権」って感じで「権」の文字をつけて使われることが多いと思うけどね。

 

 ちなみに憲法を学んでいると、だいたいこの経済的自由ってのは低く見られがち。精神的自由ってのは、民主政治の根幹だから大切にしなきゃいけないよね。だから、精神的自由権を侵害する法律を作るときには慎重にならなきゃいけない。けど、経済的自由権ってのは最悪、不当に侵害されても、選挙という民主政治の手段によって回復できるよね。だから、ある程度違憲審査基準は緩くてもOKだよ~って大雑把にいってそんな感じ (^-^; 二重の基準論なんていったりする。

 

 精神的自由も経済的自由も、どちらも憲法に保障された基本的人権なんだけど、その制約度合いについては、経済的自由の方が広く認められるよ! ってな感じで、憲法を学んでいると経済的自由を軽視しがちなんだわ。

 

 一方、資産運用の世界では、経済的自由の達成こそが資産運用の目的とまでされたりして、けっこう高価値なもの。このギャップに当初は違和感を感じてたんだわ。

 

 もちろん憲法学においても、経済的自由が重要じゃないなんて言ってはいない。けど、私有財産制も認められ、職業選択の自由もあるわけだし、日本の社会では憲法が認めている以上、経済的自由はすべての国民が享有していると言える。生活費を稼ぐためにあくせく働かなきゃいけないとしても、それでもどんな企業に勤めるか、あるいは自分で起業するかって選択肢はあるわけだし、もっと物価の低い国に移住するかって選択もあるわけだから、やっぱり経済的自由はあるんだよ。

 

 ただし、憲法が保障しているのは、あくまで経済的自由。経済的自由になろうとしたら、それなりの才能を持っているか、それなりの努力をしなきゃいけない……残念ながら(?)日本の国家は、怠け者まで何不自由なく暮らさせてくれるほど裕福な国じゃないんだよね。当たり前か。

 

 憲法記念日にちなんで、「経済的自由」について話題にしてみたよ (^^♪