ロビン日記

古本屋ロビンの日々を綴っています。

新NISA制度にどう対応するか

 NISA改革案が発表されて、色々と話題になっているけど、個人的にあれこれと考えて疑問点が出てきたので、ここいらで考えをまとめてみたい。以下の5点。

 

 1・現行のNISA枠はどうなるのか?

 2・非課税枠の復活はあるのか?

 3・投資家保護制度はどうなるのか?

 4・株と投資信託の比率はどうすべきか?

 5・非課税枠を何年で使い切るべきか?

 

 このうち1~3は制度に対する疑問。4と5は新制度になって自分がどう対応するかって問題。いわば外の問題と内の問題なので、キッチリ分けたうえで考えないといけないね。順に考えていきたい。

 

1・現行のNISA枠はどうなるのか?

 これから投資を始めるって人には問題ないけど、既にNISAを始めてるって人には気になるところだよね。

 

 報道によれば、現行のNISA枠は、新NISAとは別に管理されるとのことで、既にNISAを始めてる人も、それとは別に生涯1,800万円の枠は使えるとのこと。

 

 ただ、じゃあ今まで通り年間40万円を20年間積み立てられるのかっていうと、どうもそうじゃないみたい。2024年以降は新NISAに一元化されるみたいで、2023年までしか積立てできないみたいなんだよね。詳細は証券会社等で説明会が開催されるだろうから、そこで確認しないと分からないけどね。

 

 ともかく、今の時点での自分の理解としては、積立てできるのは2023年まで。ただ、その後も20年間は運用できる。そういうことなんじゃないかと思ってる。

 

 新制度での1,800万って枠は現行制度と別に与えられるみたいなので、その点は嬉しいんだけど、どうにも納得いかないことがある。

 

 そもそも現行の制度は、つみたてNISAか一般NISAか、どちらかを選択しなきゃいけなかった。両方使いたいといってもダメだった。で、両者を比較した結果、運用期間、運用額等から見てつみたてNISAの方がメリットがあると判断したから、そっちを私は選んでる。

 

 もし、2024年以降現行のつみたてNISAが使えなくなるんだったら、一般NISA利用者の方が税制面で優遇されることになる。だって年間の投資額が、つみたてNISAの3倍なんだから。

 

 どうなんだろ? 2024年以降つみたてNISAできないというのは新規口座開設者の話で、既に口座開設してる人は、当初の予定通り毎年40万円、最長20年間の積立てを継続したうえで生涯1,800万円の枠が与えられるってことかな? だったら、何も不満はないんだけど。正直、このへんはよく分からなかったので、しっかり確認していきたいね。

 

2・非課税枠の復活はあるのか?

 現行のNISA、つみたてNISAでは株や投資信託を売却しても非課税枠は復活しない。ってことは、おそらく新制度でも非課税枠の復活ってないよね? だったら生涯1,800万って枠はあまりにも小さすぎないか?

 

 投資に失敗した。売却してやり直したいって思っても、非課税枠を失うって心理的壁が大きすぎて、なかなか思うような投資成績を上げられなくなる気がする。

 

 富裕層を優遇しすぎないってのは大事だけど、「貯蓄から投資へ」って流れを促したいなら、年間投資額の上限を定めるだけで、生涯投資枠の上限なんて不要だと思うんだけどね。この前は少なくとも2,000万円って意見を述べたけど、非課税枠が復活しないなら3,000万でも5,000万でも十分じゃない。年間投資額に上限を定めるだけにしろって思うね。

 

 もしくは、1,800万って枠は一度に保有できる非課税枠の上限ってことにする。つまり、売却したらその分だけ非課税枠が復活する。そうすりゃ投資初心者でも使いやすい制度になると思う。非課税枠が復活するなら、1,800万どころか1,000万や500万でもかなり意味のある制度になると思うけどね。

 

 なぜ、非課税枠の復活が大事かっていうと、その方がより資産形成を促しやすいって効果が期待できるからだよ。

 

 たとえば、新NISAの成長投資枠(これは仮称なんだけど、つみたて枠とは別に個別株購入に充てられる枠をこう呼んでるみたい。現行の一般NISAにあたる部分)で個別銘柄を買ったとする。配当にも期待出来て、基本的には長期保有するつもり。だけど、その会社で不祥事が発覚し、業績が悪化。配当も出なくなり、株価も暴落。こんな時に、非課税枠が復活しないなら、売却をためらう心理的足かせとなってしまう。

 

 現行の一般NISAは、運用期間が5年間と比較的短期。企業業績もある程度見通せなくはない。けど、新制度では運用期間を無期限、恒久化ってのを謳っているわけで、だったら、10年、20年先の未来のことなんて見通せないよ! ってのを前提に制度設計すべきなんじゃないの?

 

 とすりゃ、生涯投資枠の上限を撤廃するか、売却した時には非課税枠を復活させるか。どっちかにすべきと思うけどね、

 

 A社の株100万円買った人、B社の株100万円買った人。どっちも投資額は同じ。購入時点での業績も同じようなものだったとする。でも、20年後、A社は倒産し、B社は株価が倍になっていたって場合、A社の株を買った人は非課税枠を100万円分失うことになるけど、それって不公平じゃない? はるか未来を予測するなんて無理ゲーなんだから、A社に投資したのが悪だとすれば、投資ってギャンブルと変わらなくなる。とても国が推奨すべき制度とは思えないね。

 

 恒久化だとか、投資額とかばかり議論されてきたけど、この問題ってけっこう投資の本質に迫る大事な問題だと思うんだけどね。でも残念ながら、ほとんど議論されていないみたい。

 

 そういや今のところ国民の大半は、金融資産を1,000万保有していないってこと。だから、1,800万の枠がありゃ十分だって話もあったみたいなんだけど、これって詭弁だね。たとえ金融資産が1,000万円なくても生涯で使うお金は1,000万どころじゃない。家を買ったり車を買ったり、色々と金を使ってるでしょ? 今持ってるお金は少なくても、人生を長く生きてりゃ、何千万、何億って金を消費することになるんだから、1,800万なんて数字で喜んでちゃダメなんだよ。

 

 それと生涯投資枠を設けることで、いつ売るべきか? って無用のストレスを抱えることになる。株が暴落しても損切りすべきか、非課税枠を活用するため持ち直すのをジックリ待つべきか判断が難しくなるし、運用がうまくいってても、現行制度みたいに期限が切られていない以上、出口戦略は自分で考えなきゃいけない。投資初心者には難しいと思うけどね。だから、さっさとこんな枠は取っ払うべきだね。でなきゃ資産所得倍増なんて無理だし、株価の低迷も抜け出せないよ。

 

 そうそう思いついたから、ついでにもう一つ。生涯投資枠を設けると、いつ売るか? って問題で頭を悩ませるだけじゃなく、いつ買うか? って問題も難しくなる。だって、配当金額が変わらないなら、株価2,000円の時に買うより1,000円の時に買った方が利回りは高くなるし、非課税枠もそれだけ使わないことになるんだからね。

 

 ってことは、結局、投資初心者はいつ買ったらいいか判断できないってことになって、株に手を出しにくくなるんじゃない? 買う人が少なければ、株価は上がらない。自明の理だね。「貯蓄から投資へ」の流れで、国民の資産形成を本気で促したいなら、生涯投資枠を撤廃するか。投資枠上限を定めるなら非課税枠の復活を認めるか。どっちかにすべきだね。

 

 3・投資家保護制度はどうなるのか?

 この点もあまり話は聞かれないね。

 

 銀行預金の場合、万一、銀行が経営破綻しても1,000万円の範囲で預金は保護される。そういう仕組みができている。

 

 株や投資信託も、一応、投資家保護の仕組みはあって、その一つが分別管理。証券会社の財産と、投資家の財産が混ざらないように、きちんと分けたうえで管理、保管するよう法律で義務付けられている。

 

 けどね、法律で定められていても、その証券会社の実際の運用状況なんて個人投資家には知る由もないわけだし、杜撰な管理が常態化していないとも限らない。昔と違って今は株も電子化されているので、自宅金庫に株券を保管しておくってこともできない。PC画面ではただの数字だけど、個人の一生を左右しかねないような大金を何の証拠もなしに、民間の証券会社に預けてるわけだから考えてみたら怖い話だw

 

 もう、この点はその証券会社を信用するしかないんだけど、それでも万一、その証券会社がいい加減なことをして経営破綻して、個人の財産もうやむやになってしまったら、どうなるのか? A証券会社に預けてる人は無事問題なかったけれど、B社に預けていた人は泣き寝入り……ってなことがあっていいはずがない。

 

 こんな時のために、保護基金なるものがあるみたい。万一の事態に備えて、投資家の保護を図る仕組み。じゃあ安心かっていうと、そうじゃない。この補償額は1,000万円って枠がある。ってことは、新NISAの非課税枠でMAX1,800万突っ込んでいたら、800万円分はアウトになる可能性があるってこと。しかも、1,800万ってのはあくまで投資元本なので、運用成績が良ければ2,000万、3,000万になってる可能性だってある。その場合でも、助かるのは1,000万だけ。

 

 これも由々しき問題だよね。現行のNISA口座は、どこか一つの金融機関にしか開設できない。しかも移管手続きが面倒。つまり何か問題があったとき、逃げられない! ってこと。

 

 もっとも、NISAが恒久化されたことで、年度ごとに管理するって必要がなくなるはずなので、今よりか移管手続きは少しは楽になるかもしれない。だから、今預けている証券会社が危ないなと思ったら、別の証券会社に移管するってのも一つの防衛策だよね。

 

 けれど、そもそも1,000万の範囲でしか保護されないってのがマズい。政府が旗を振って、国民に投資を促すなら、少なくともNISA枠の範囲では国で責任もって保護すべきだろって思う。もちろん、金融庁による各金融機関の監督も今まで以上にシッカリしてもらいたい。

 

 でも、国レベル、業界レベルでの対応について、個人があれこれ言ってもどうしようもないので、自分の資産を守るためにすべきこととしては、複数の証券会社に口座を持つてのが大事じゃないかな? NISAもiDeCoも特定口座も一つの証券口座ってのは、万一の事態を考えたら、ちょっと危険な気がするね。

 

 4・株と投資信託の比率はどうすべきか?

 ここからは、新制度で個人の投資戦略をどうすべきかって点についての自分なりの考え。

 

 まず悩むべきは、株(成長投資枠)と投資信託(つみたて枠)の使い分け、比率をどうすべきかって問題。

 

 本来なら、非課税枠に一定の株式を入れて、配当金、売却益いずれも非課税で運用したいところ。けど、いかに大企業といえど、10年、20年たてばどうなっているか分からない。業績悪化して倒産していれば非課税枠なんて何の意味もなくなるわけで、非課税枠の復活ってことがない限り、

 

 100%投資信託(インデックスファンド)

 

 これが最適解かなって思ってる。しかも、万一の繰り上げ償還に備えて、複数の銘柄に分散投資。これで行こうと思ってる。株式は特定口座で運用して、税金は甘んじて支払う。それでいいと思うよ。

 

 5・非課税枠を何年で使い切るべきか?

 成長投資枠も使うのなら、年間360万投資して最短5年で1,800万に達する。けど、100%インデックスファンドで行こうと決めた以上、短期決戦は考えない。

 

 ただ、あまりに積立期間が長期に及ぶと複利の効果が小さくなるし、かといって一括投資に近いような、無理な資金注入もしたくない。運用期間もなるべく長期間とれて、生活水準もさほど落とさなくて済む。ほどよいバランスの取れるラインが、年間120万で15年かけて使い切るってところかなって思う。

 

 20~30代の若い世代の人たちなら、年間60万(月あたり5万円)で30年かけて使い切るってラインでもいいんじゃないかな?

 

 

 

  ……とまぁ、自分なりに色々と考察してみたけど、正直、1,800万って枠があるおかげで、あんまり使い勝手のいい制度とは思えないわ。NISAの恒久化ってのもほとんど意味をなさない気がする。

 

 儲かったら税金を払う。これって当たり前のことなんだけど、もともと投資に回す私たちのお金って、国や自治体に税金や社会保険料を支払ったうえでの残りカスで運用しているに過ぎない。にもかかわらず投資リターンにも課税するってのは、二重課税なんだよ。日本人っておとなしい国民性なので、お上のやることに逆らわない性質なんだけど、やっぱ国のやることってエゲツナイ気がするね。

 

 新NISA。期待したい面はあるけど、どうも国民全体のことを考えてくれたありがたい制度のようには思えないね。まぁ我々個人としては、定められた制度で最大限できることをするしかないんだけどね。