ロビン日記

古本屋ロビンの日々を綴っています。

人工知能(AI)と古本屋

 最近、さまざまなメディアでAIのことが取り上げられるようになってきたね。これまで人間にしかできなかった知的作業も、AIに取って代わられるんじゃないかって戦々恐々としている人もいるかもね。

 

 個人的には、たとえAIが進歩しても、私が生きてるうちは職を失うことはないんじゃね? って思ってる。なんせ自営業だからね。自分が経営者。むしろ優秀なAIが出てきたら、それを活用してビジネスに活かせないかって考える立場の人間。

 

 けどね~、他の分野ではともかく古書の業界では、なかなかAIの活用って進まないんじゃないかって思ってるよ。AIに向いていないってことじゃなくコスト的な問題で。

 

 我々、古書店のおおまかな仕事の流れってこんな感じ。今、主流のネット型古書店の場合を考えてみる。

 

1・本の査定、仕入

 ↓

2・検品

 ↓

3・値付け

 ↓

4・出品、販売

 ↓

5・梱包、発送

 

 どこの店もこういう流れで業務をしているのはほぼ間違いない。まぁ中には、売れてから商品を仕入れて転売するっていう無在庫販売を主に行っている業者もいるけど、中古という性質上、1冊1冊コンディションが異なる古本で無在庫転売を行うのは、リスクが大きいだけだと思うけどね。

 

 それはともかく、上の流れのうち1と3は、まさにAIが得意とするところ。ビッグデータを活用して、より効率的に買取り金額を決定したり、販売価格を改定したりできる。

 

 実際、数年前、市会での仕入れにAIを活用できないかって話になって、ある若手の古書店と共同開発しようかって盛り上がったことがある。毎週の市会に出品される本を画像データに残しておき、その落札者、金額を記録する。さらにネットでの相場価格もAIに自動学習させて、利益を最大化するように入札額を決めるってのも原理的には可能なはずなんだわ。

 

 ここでのポイントは、単にネットでの販売相場を調べるってだけでなく、誰がいくらで購入したかをチェックし市会での落札相場も学習させることで、高すぎる金額での落札を防げるってこと。もしも高額で売れる商品であっても、限界ギリギリまで突っ走る店が市会に出席していたら、あまり儲けは出ないってことで入札見送りってこともあるだろうし、あえて「噛み札」を入れることで高値掴みさせ、ライバル店の資金を削るって戦略も考えられるw

 

 けど、まぁ~AI開発にかかる費用と得られる利益とを考えた場合、コストに見合わないなって結論で、本気の資金投入にはならなかった。それに共同開発の場合、市会での入札の権利を誰が持つかってことも事前にキッチリ契約内容に定めておかないと後々トラブルが生じることになるしね。

 

 そういうわけで、なかなか古書の業界ではAIの導入は進まないんじゃないかな? 大量販売、大量仕入れのチェーン店だったらそのうち導入するかもしれないけど、相場のない本に値段をつけるって技術は、今のところ人間にしかできないものと思うし、それにいかにAIが進歩しても、梱包やクレーム対応までしてくれるわけじゃないだろうから、やっぱり人間の仕事はなくならないと思うのよ。

 

 それでもまぁあと100年ほどすれば人工知能搭載のロボットがかなり普及して、クソ重たい本をせっせと運ぶ仕事も、汚れた本をクリーニングする仕事も、み~んなそんなロボットがやってくれる時代が来るかもしれないけど……そんな時代まで昔ながらの古書店が生き残ってるかも疑問だし、少なくとも私は生きてないと思うから、あんまり気にしなくていいかって思ってるよ (^^♪